◆ Q 改正ビル管理法に関するQ&A

 ビル管理法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)は、ビルメン
テナンスにとってもっとも関係深い法律です。ビル管理法の諸規定には2つの
側面があります。一つにはビルの所有者が守らなければならない諸規定と、二
つには実際に環境管理業務を請け負っているビル管理業者の資質向上のための
諸規定であります。
3千平米以上のビル(特定建築物)の所有者は、ビル管理技術者(国家試験か
講習によって取得)を選任し、空気、飲料水、排水、ネズミ昆虫の防除、清掃
などに関して定めた環境基準を遵守しなければなりません。

 一方、ビル管理技術者を派遣し、環境管理業務を実際に行っているビルメン
テナンス業者に対しては、一定の要件(人的、物的)を満たせば都道府県知事
の登録を獲得できるという登録制度が設けられています。
登録業には6つの業種があります。要件としては必要な機械・用具があること、
厚生大臣指定の講習を受けた監督者等がおかれていること、従業員の教育を毎
年行っていることなどです。以下に6つの業種とそれぞれに必要な監督者等の
名称を紹介します。

 第1号 建築物清掃業………………………清掃作業監督者
 第2号 建築物空気環境測定業……………空気環境測定実施者
 第3号 建築物水質検査業…………………水質検査実施者
 第4号 建築物飲料水貯水槽清掃業………貯水槽清掃監督者
 第5号 建築物ねずみこん虫等防除業……防除作業監督者
 第6号 建築物一般管理業…………………統括管理者、清掃作業監督者、
                    空気環境測定実施者
 ◆ Q ビルメンテナンスに関係する法律にはどのようなものがありますか。

行政省庁
主な法令・基準・規則等
厚生労働省
建築物における衛生的環境の確保に関する法律(ビル衛生管理法)、水道法、浄化槽法、廃棄物の処置及び清掃に関する法律、興業場法、旅館業法等
労働基準法、労働安全衛生法、事務所衛生基準規則、ゴンドラ安全規則、ボイラー及び圧力容器安全規則等
国土交通省
建築基準法、下水道法、駐車場法、建物の区分所有等に関する法律等
経済産業省
電気事業法、電気工事士法、ガス事業法、高圧ガス取締法、計量法、エネルギー使用の合理化に関する冷凍保安規則等
消防庁
消防法、危険物の規制に関する規則、火災予防条例等
環境省
大気汚染防止法
総務省
電気通信事業法等
地方自治法
警察庁
警備業法等
 ◆ Q ビル設備管理技能士の資格はどのように役立つのですか?
 ビル設備管理技能士の資格取得の意味は、ビル設備管理に最も必要な、建築
設備に関する横断的な知識(技能)を有していることが国または自治体によって
証明されるということ以外にはありませんが、ビル設備管理技術者にとって最
も必要な知識を有していることが証明されるわけですから、社内での評価、あ
るいは入社時に有利になると思います。
 ◆ Q ビル設備管理技能士を取得すると、どのような業登録ができるのですか?

 ビル設備管理業は、警備業や建設業とは異なり、警備業法・建設業法といっ
た業法はありませんので、極端に言えば、誰でも、明日からでも事業を行うこ
とができます。
したがって、ビル設備管理技能士の資格が無いからといって設備管理業が行え
ないというわけではなく、業登録とは今のところ全く関係のない資格です。
ところで、ビル衛生管理法という法律がありますが、この法律の中に、事業登
録制度というのがあります。この制度は、環境衛生管理業務を行う事業者の資
質を、都道府県知事が証明する制度ですが、事業登録を受けるには、法律で定
められた登録基準を満たさなければなりません。
 この登録基準の一つに従業員に関する事項(人的要件)が定められています。
簡単に言うと、法律で定められた資格を有する者がいなければ事業登録ができ
ないこととされています。
 現在、この事業登録制度を見直すための検討が進められており、その中で、
建築物の環境衛生を維持するために必要な業務として、新たに設備管理業務を
含められることが論議されています。仮に、そうした形での改正が行われます
と、その設備管理業務に関係する人的要件としてビル設備管理技能士が位置づ
けられる可能性が高いと思われます。
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